2026年11月6日
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ポータブルトイレは介護保険で買える?年間10万円の購入費と申請の流れ
「夜のトイレが遠くて不安なので、寝室にポータブルトイレを置きたい」「お風呂で足を滑らせないか心配で、浴槽用のいすを買いたい」——。こうした用具は、条件を満たせば介護保険を使って安く購入できます。この記事では、介護保険で買える福祉用具の決まりと、申請のしかたを説明します。
1. 福祉用具は「レンタル」と「購入」の2つ
介護保険で福祉用具を使う方法は2つあります。ひとつは福祉用具貸与(レンタル)で、介護ベッドや車いす、手すり(据え置き型)、歩行器などが対象です。もうひとつが特定福祉用具販売(購入)で、こちらが今回のお話です。
なぜ買えるものと借りるものが分かれているのか。理由は「他の人が使ったものを再利用するのに抵抗があるもの」だからです。トイレやお風呂で体に直接ふれる用具は、中古を借りるより新品を買うほうが自然ですよね。また、移動用リフトの「吊り具」のように、使ううちに形や品質が変わってしまうものも購入の対象です。
2. 介護保険で買える用具は7品目
購入の対象になるのは、国が定めた次の品目です(厚生労働省「福祉用具・住宅改修」より)。
- 腰掛便座…ポータブルトイレ、和式便器の上に置く便座、便座から立ち上がるのを助ける電動式・スプリング式の便座など
- 自動排泄処理装置の交換可能部品…自分や家族で交換できる部品
- 排泄予測支援機器…尿量を推定し、トイレの機会をお知らせする機器
- 簡易浴槽…空気式・折りたたみ式で、工事をともなわずに移動できるもの
- 入浴補助用具…入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ
- 移動用リフトの吊り具の部分…リフト本体はレンタル、吊り具だけが購入の対象
- スロープ・歩行器・歩行補助つえ(杖)…2024年4月から、レンタルと購入のどちらかを選べる「選択制」になりました(歩行車と松葉づえは除く)
紙おむつ・おしりふきなどの消耗品、手すりの取り付け工事、介護ベッド、車いすは、この購入費の対象ではありません。手すりの取り付けなどは「住宅改修」、ベッドや車いすは「レンタル」の制度を使います。
3. 上限は年間10万円。1割負担なら実質1万円
購入費が支給されるのは、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間で10万円(消費税込み)までです。介護度(要支援1〜要介護5)によって金額は変わりません。10万円を超えた分は全額自己負担になります。
8万円のポータブルトイレを買った場合、保険から支給されるのは7万2,000円。ご自分の負担は8,000円です。
3割負担の方は自己負担が2万4,000円になります。負担割合は、年金収入などによって1割・2割・3割に分かれます。ご自分の割合は介護保険証や自治体の通知で確認できます。
なお、この10万円は年度ごとに区切られ、使い残しても翌年へ繰り越せません。「今年は使わなかったから来年まとめて」ということはできませんので、必要な用具があるときは早めに動きましょう。同じ品目を2つ買ったり、買い直したりする場合は、原則として認められません(破損したときなどは自治体の判断になります)。
4. 買う前の3つの約束
- 要介護・要支援の認定を受けていること…認定の申請前に買ったものは対象外です。まだ認定を受けていない方は、まず自治体の窓口か地域包括支援センターに相談してください。
- 都道府県などの指定を受けた販売事業者から買うこと…インターネットで買ったものや、ホームセンターで買ったものは対象外です。同じ商品でも、買うお店で扱いが変わります。
- 入院中・施設に入所中は対象外…退院に向けて準備する場合も、支給の申請は退院後にします。
5. 申請の流れ(償還払いが基本)
購入費の支給は、多くの自治体で償還(しょうかん)払いという方法です。いったん全額を支払って買い、あとから申請して保険の分を戻してもらいます。
- ケアマネジャーか福祉用具専門相談員に相談する…「介護保険で買いたい」と伝えれば、対象かどうかを確認してくれます。
- 指定事業者から見積書をもらう…自治体によっては、購入前の事前申請が必要です。
- 全額を支払って商品を受け取る…領収書と納品書は必ず保管してください。
- 市区町村の介護保険窓口へ申請する…支給申請書、領収書の写し、パンフレットなどが必要です(自治体で多少異なります)。
- 指定口座に保険の分が振り込まれる…おおむね1〜2か月かかることが多いようです。
自治体によっては「受領委任払い」といって、はじめから自己負担分だけを支払う方法を選べるところもあります。自分の地域がどちらかは、窓口で確認しましょう。
この記事は一般的な情報です。対象になるかどうか、必要な書類、期限の判断は自治体によって異なります。必ずお住まいの市区町村の介護保険窓口、担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターにご相談ください。制度の内容は法改正で変わることがあります。
まとめ
- ポータブルトイレ・入浴用いすなど7品目は、介護保険で「購入」できる
- 上限は年度ごとに10万円(税込)。1割負担なら8万円の品が実質8,000円
- ネット通販やホームセンターで買ったものは対象外。指定事業者から買う
- 多くは「いったん全額払って、あとで戻ってくる」償還払いの方式
- 使い残しは翌年に繰り越せない。必要になったら早めに相談を
トイレやお風呂の不安は、用具ひとつでぐっと軽くなることがあります。まずは担当のケアマネジャーに「こんなことで困っている」と話してみてください。