2026年11月1日
⏱ この記事は約5分で読めます
介護保険の住宅改修(手すり・段差解消)|20万円の支給と申請の順番をわかりやすく解説
「廊下につかまる所がなくて怖い」「玄関の上がり框(かまち)でつまずく」——そんなとき、手すりの取り付けや段差の解消は、介護保険の「住宅改修費」で費用の7〜9割が戻ってくることをご存じでしょうか。使えるのは1人あたり20万円までです。
ただし、いちばん多い失敗は「工事をしてから申請する」こと。順番を間違えると、1円も支給されません。先に流れをつかんでおきましょう。
・対象は手すり取り付け・段差解消など6種類の工事です。
・支給限度基準額は1人20万円(要介護度が変わっても同額)。
・実際に戻るのは20万円の7〜9割=14万〜18万円。差額は自己負担です。
・工事の前に市区町村へ事前申請が必要。着工後の申請は原則認められません。
・引っ越した場合や要介護度が大きく上がった場合は、また20万円に戻ることがあります。
対象になる6つの工事
「バリアフリーのリフォームなら何でも」ではありません。介護保険の対象は次の6種類に限られています。
- 手すりの取り付け(廊下・階段・トイレ・浴室など)
- 段差の解消(玄関の踏み台、敷居の撤去、スロープの設置など)
- 床や通路の材料の変更(滑りにくい材質にする、移動しやすくする)
- 引き戸などへの扉の取り替え、ドアノブの変更
- 洋式便器などへの便器の取り替え
- 1〜5に付帯して必要となる工事
・単なる老朽化の修繕や、趣味・好みのためのリフォーム
・浴室全体の改修、キッチンの入れ替え、エアコン設置、外構工事
・持ち家以外(住民票の住所と住宅が一致しない場合、賃貸住宅は大家さんの同意が必要)
・本人が住んでいない家の改修
いくら戻る?20万円の計算のしかた
支給限度基準額は20万円。この20万円に対して、負担割合に応じて支給されます。
| 負担割合 | 支給される額 | 自己負担 |
|---|---|---|
| 1割 | 18万円 | 2万円 |
| 2割 | 16万円 | 4万円 |
| 3割 | 14万円 | 6万円 |
たとえば工事費が15万円で負担1割なら、13万5,000円が戻り、自己負担は1万5,000円です。20万円を超えた分は全額自己負担になります。
・20万円は1回きりではなく、小分けに使えます(今年手すり、来年浴室……も可能)。
・同じ住宅に住む夫婦がそれぞれ認定を受けていれば、20万円×2人分使える場合があります。
・引っ越した場合や、要介護度が著しく高くなった場合は、改めて20万円に戻る扱いがあります(市区町村にご確認ください)。
申請の流れ(この順番が命です)
① ケアマネジャー・地域包括支援センターに相談
なぜ改修が必要なのかを理由書にまとめてもらいます。要支援・要介護の認定を受けていることが前提です(自治体独自の「予防給付」制度がある場合もあります)。
② 業者と打ち合わせ、見積書をもらう
見積書は本人(被保険者)宛てのもの。介護保険の対象分と対象外の分の内訳がわかる形にしてもらいましょう。
③ 市区町村の介護保険担当へ「事前申請」
工事の着工前に、支給申請書・理由書・見積書・完成予定の図面や写真などを提出します。
④ 工事
申請した内容どおりに工事します。内容を変えるときは、必ず工事の前に相談してください。
⑤ 完成後の申請で支給決定
領収書、改修後の写真、着工日・完成日がわかる書類などを添えて申請し、指定口座に振り込まれます。
写真の撮り方が支給額を左右します
「本当に改修したのか」は写真で確認されます。次の3点を押さえてください。
- 着工前に、改修する場所を全体がわかるように撮る(日付が入る設定に)
- 完成後は、できるだけ着工前と同じ角度・同じ場所から撮る
- 手すりや踏み台は、固定されていることがわかるように取り付け部分も写す
お金の払い方は2通り
償還払いは、いったん全額を業者に支払い、あとから7〜9割が戻る方法。受領委任払いは、自己負担分だけを支払えばよい方法で、市区町村が制度を用意している場合に使えます(業者が対応している必要があります)。まとまった現金を用意するのが大変なときは、受領委任払いが使えるかを最初に確認しましょう。
・工事を始めてから申請する……原則、支給されません。
・訪問販売の「無料点検」でその場で契約する……見積もりの比較をせずに契約すると高額になりがちです。クーリング・オフ(8日間)が使える場合もありますが、着工すると難しくなります。
・領収書をもらわずに支払う……支給申請に領収書が必要です。
まとめ
- 手すり・段差解消など6種類の工事が、1人20万円まで介護保険の対象です。
- 戻るのは7〜9割。負担1割なら最大18万円、自己負担は2万円。
- 工事前の申請が絶対条件。まずケアマネジャーか地域包括支援センターへ。
- 着工前と完成後を同じ角度で撮影しておくと、申請がスムーズです。
- 現金の持ち出しを抑えたいときは受領委任払いが使えるか確認を。
※この記事は、厚生労働省「介護保険における住宅改修」および各市区町村の住宅改修費支給の案内などの公表資料をもとに作成しています。対象工事の範囲・必要書類・受領委任払いの可否は市区町村ごとに異なり、制度内容も改正されることがあります。実際に工事を進める際は、必ずお住まいの市区町村の介護保険担当窓口、担当のケアマネジャー、地域包括支援センターなどの専門家にご相談ください。契約や費用でトラブルになった場合は、お住まいの消費生活センター(188番)へご相談ください。
← 記事一覧に戻る