2026年10月21日
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自筆証書遺言書保管制度とは?法務局に預けて「なくす・改ざんされる」不安をなくす方法をわかりやすく解説
「遺言書は書いたけれど、どこに置いておけばいいのか分からない」「引き出しに入れたまま、家族に見つけてもらえなかったらどうしよう」。そんな不安を減らすためにできたのが、自筆証書遺言書保管制度(じひつしょうしょいごんしょほかんせいど)です。自分で書いた遺言書を、法務局(ほうむきょく)に預けて保管してもらえる仕組みで、令和2年(2020年)7月10日から始まりました。この記事では、費用や使い方、メリットと注意点を順番に説明します。
・自分で書いた遺言書を、法務局に預けられます(手数料は1通3,900円)。
・預けると「検認(けんにん)」という家庭裁判所の手続きが不要になります。
・ただし預けただけでは遺言書の効力は変わりません。書式の不備は自分で防ぐ必要があります。
・家族は、預けたことを知らなければ探せません。伝え方がいちばんの落とし穴です。
そもそも「自筆証書遺言」と「検認」とは
遺言書には大きく分けて3つの種類があります。そのうち自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)は、自分ひとりで紙に書くだけで作れるいちばん手軽な遺言書です。パソコンで作ることはできず、本文・日付・氏名をすべて自筆(自分で書く)し、押印が必要です。財産の目録だけはパソコンで作って添付できます。
これまでは、自筆証書遺言を家庭裁判所に持っていって「検認(けんにん)」という手続きを受けなければなりませんでした。検認とは、「この遺言書は本物で、書き換えられていない」と裁判所が確認する手続きです。相続人が全員そろって裁判所に行く必要があり、時間も手間もかかるのが難点でした。
法務局に預けると何が変わるのか
自筆証書遺言書保管制度を使うと、この検認が不要になります。なぜなら、法務局が預かった時点で原本を確認し、写真に撮って保管するからです。改ざんや紛失の心配がなくなるため、裁判所での確認が要らなくなった、という仕組みです。
| 項目 | 自分で保管 | 法務局に保管 |
|---|---|---|
| 検認 | 必要 | 不要 |
| なくす心配 | あり | なし |
| 書き換えの心配 | あり | なし |
| 手数料 | 0円 | 1通3,900円 |
| 書式のチェック | なし | なし(形式面のみ) |
ほかにも、遺言書の内容を家族に見られずに済む(プライバシーが守られる)、引っ越しても保管した法務局で手続きが続けられるといった利点があります。
費用と手続きの流れ
・遺言書の保管手数料:1通につき3,900円(収入印紙で納めます)
・遺言書情報証明書(あとで家族が取り寄せる証明書):1通につき1,400円
・遺言書の閲覧(画面で見るだけ):1通につき800円
※金額は制度開始時のものです。最新の額は法務局の案内でご確認ください。
- 遺言書を自分で書く:本文・日付・氏名を自筆し、押印します。日付は「2026年10月21日」のように、年月日をはっきり書きます。
- 予約する:法務局の予約サイトか電話で、保管の申請日時を決めます。どこの法務局でも構いません(住所地の法務局でなくても大丈夫です)。
- 法務局の窓口へ行く:遺言書の原本、本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)、印鑑、手数料の収入印紙を持参します。申請できるのは本人だけで、家族が代わりに行くことはできません。
- その場で写真撮影と確認:係の人が遺言書を確認し、写真に撮って保管します。原本はそのまま返してもらえます。
- 保管証を受け取る:保管したことを証明する書類が渡されます。これは大切に保管してください。
預けても「中身の正しさ」は保証されない
ここがいちばん大切な注意点です。法務局が確認するのは「本人が書いたかどうか」「形として整っているか」までです。遺言書の中身が法律的に正しいかどうかは判断してくれません。たとえば、次のような書き方をしてしまうと、せっかくの遺言書が使えなくなることがあります。
- 財産の分け方が合計で100%になっていない(書き漏らしがある)
- 「長男にすべて相続させる」など、遺留分(いりゅうぶん)を侵害する内容になっている
- 日付が抜けている、押印がない、パソコンで本文を作ってしまった
こうした不安をなくしたい方は、公証役場(こうしょうやくば)で公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)を作る方法もあわせて検討してください。公正証書遺言は公証人が内容をチェックしてくれるため、書式の不備が起きにくい方式です。費用は数万円かかりますが、財産の総額によっては確実性が大きく違います。
いちばんの落とし穴|家族が「預けたこと」を知らない
法務局に預けた遺言書は、家族が自分から探しに行かない限り、見つかりません。法務局が「遺言書を預かっています」と家族に知らせてくれることはありません。せっかく書いても、家族が知らなければ意味がなくなってしまいます。
・遺言書の存在と保管場所を、信頼できる人に伝えておく(家族・親族・弁護士・司法書士など)
・保管証の写しを、遺言書とは別の場所に保管しておく
・「法務局に遺言書がある」と分かるメモを、エンディングノートなどに書き残す
・預けたあとで内容を変えたいときは、法務局で「撤回」の手続きができます(新しい遺言書を預け直すことも可能です)
なお、亡くなったあと、家族は法務局で「遺言書情報証明書」という書類を受け取れます。これがあれば、家庭裁判所の検認を受けずに、銀行や不動産の名義変更などの手続きを進められます。
まとめ
- 自筆証書遺言書保管制度は、自分で書いた遺言書を法務局に預けられる制度。手数料は1通3,900円。
- 預けると検認が不要になり、なくす・改ざんされる心配もなくなる。
- ただし中身の法律的チェックはされない。不安なら公正証書遺言も検討する。
- 家族に「預けたこと」を伝えるのが最も大切。伝わらなければ遺言書は活かされません。
※この記事は法務局が公表している制度の案内をもとに作成しています。遺言書の書き方や相続の進め方は、一人ひとりの家庭の事情で大きく変わります。実際に作成・保管を進める前には、法務局の窓口、弁護士・司法書士などの専門家に必ずご相談ください。
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