2026年10月16日
⏱ この記事は約7分で読めます
高齢者の食中毒予防|家庭でできる「つけない・増やさない・やっつける」をわかりやすく解説
「食中毒(しょくちゅうどく)は夏のもの」と思っていませんか。実は、冬にも食中毒は多く発生します。原因はノロウイルスなどのウイルスで、寒い時期に流行します。高齢の方は、菌やウイルスに対する抵抗力(ていこうりょく=体を守る力)が弱くなっているため、同じものを食べても重症化しやすいといわれています。この記事では、家庭で今日からできる食中毒予防のポイントを、厚生労働省が呼びかけている考え方に沿ってわかりやすく説明します。
食中毒は「夏だけ」ではない
食中毒を起こす原因は、大きく分けて細菌(さいきん)とウイルスがあります。細菌は気温が高い夏に増えやすく、ウイルスは冬に流行しやすいのが特徴です。つまり、一年中、油断できないということです。
とくに注意したいのは、次のような場合です。
- 作った料理を室温で長く置いた(おせち料理や煮込み料理の作り置きなど)
- 家族や介護している方が下痢(げり)やおう吐(おうと)をしている
- 二枚貝(カキなど)を加熱が不十分なまま食べた
- 賞味期限・消費期限を過ぎた食品を食べた
高齢の方、とくに持病のある方は、下痢が続くと脱水症状(だっすいしょうじょう=体から水分が失われること)を起こしやすく、入院が必要になることもあります。まずは「かからないこと」が大切です。
食中毒予防の3つの原則
厚生労働省は、食中毒予防の基本として次の3つを挙げています。覚えやすい言葉なので、冷蔵庫の扉に貼っておくのもよいでしょう。
・つけない……清潔な手・器具で扱い、菌やウイルスを食品に付けない
・増やさない……食品を室温に放置せず、すぐ冷蔵・冷凍する
・やっつける……加熱する食品は中心部まで十分に加熱する
つけない|手洗いが一番の基本
食中毒の予防で最も大切なのが手洗いです。調理の前、食事の前、トイレの後、ペットに触れた後などは、石けんを使って30秒ほど丁寧に洗い、流水で流します。指の間、爪の間、手首まで洗うのがコツです。タオルは共用せず、清潔なものを使いましょう。
まな板や包丁は、肉や魚を切った後に、そのまま野菜を切らないようにします。いったん洗って熱湯をかけるか、肉・魚用と野菜用で分けると安心です。
増やさない|室温に置きっぱなしにしない
細菌は室温でどんどん増えます。調理を途中でやめるときは、必ず冷蔵庫に入れましょう。作った料理を食べきれなかったときは、早めに小分けにして冷蔵し、食べるときはしっかり再加熱します。
冷蔵庫は食品を詰め込みすぎると冷気が回らず、温度が上がってしまいます。7割程度を目安にゆとりを持たせて収納しましょう。
やっつける|加熱のめやすは「中心部75℃で1分以上」
加熱は、食中毒菌をやっつけるための最も確実な方法です。めやすは食品の中心部の温度が75℃で1分間以上です。とくにお肉は、赤い部分が残らないよう、しっかり中まで火を通してください。
電子レンジを使うときは、電子レンジ用の容器とふたを使い、加熱時間を守ります。熱の伝わりにくい食品は、途中で一度かき混ぜるとムラなく温まります。
ノロウイルスは「加熱」と「手洗い」で防ぐ
冬に多いノロウイルスは、ごく少ない量でも感染するのが特徴で、下痢・おう吐・腹痛・発熱などを起こします。ワクチンはなく、治療は水分を補うなどの対症療法(たいしょうりょうほう)が中心です。
厚生労働省によると、汚染のおそれのある二枚貝などは、中心部が85〜90℃で90秒以上の加熱が望ましいとされています。また、お年寄りなど抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱することが重要とされています。
ノロウイルスは、まな板・包丁・ふきんなどを介して広がることがあります。使った後は洗剤でよく洗い、熱湯(85℃以上)で1分以上消毒するか、塩素系漂白剤を薄めた液で拭くと効果的です。ふきんは共用せず、使い分けましょう。
家族に下痢・おう吐が出たときの注意
家庭の中に下痢やおう吐の症状がある方がいる場合、その方に食品を直接さわってもらわないことが大切です。症状がおさまってからも、しばらく(1週間程度、長いときは1か月程度)ウイルスが出続けることがあるといわれています。
- おう吐物・便は、使い捨て手袋とマスクを着けて処理する
- 処理した後は、石けんでよく手を洗う
- トイレや浴室は、こまめに清掃・換気する
- タオル・食器は本人専用にする
・水分がとれず、ぐったりしている/尿の量が極端に少ない
・血が混じった便が出た、38℃以上の発熱が続く
・持病(糖尿病・心臓病・腎臓病など)がある方に症状が出た
高齢の方は脱水が進みやすいため、早めにかかりつけ医に相談してください。
買い物から後片付けまでの流れ
| 場面 | 気をつけること |
|---|---|
| 買い物 | 生鮮食品は最後に買う。帰宅後はすぐ冷蔵庫へ |
| 保存 | 冷蔵庫は詰めすぎない。消費期限を確認する |
| 下ごしらえ | 手洗い。肉・魚と野菜でまな板を分ける |
| 調理 | 中心部75℃で1分以上をめやすに加熱 |
| 食事 | 食べる前に手洗い。作り置きは早めに食べきる |
| 後片付け | 食器・調理器具はすぐ洗う。ふきんは清潔に |
まとめ
- 食中毒は夏だけではなく、冬のウイルスによるものも多い。一年中注意が必要
- 予防の基本は「つけない・増やさない・やっつける」の3原則
- 最も大切なのは手洗い(石けんで30秒ほど)
- 加熱のめやすは中心部75℃で1分以上。二枚貝は85〜90℃で90秒以上が望ましい
- 下痢・おう吐があるときは食品をさわらない。処理は手袋とマスクで
- 高齢者は重症化・脱水しやすい。様子がおかしいときは早めに受診
毎日の食事は、楽しみでもあります。無理なくできることから始めて、安心して食べられる食卓を守っていきましょう。
この記事は一般的な情報をお伝えするものです。症状の判断や治療、持病のある方の食事については、必ずかかりつけの医師など専門家に相談してください。