20261012
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加給年金とは?もらえる条件と金額・振替加算の仕組みをわかりやすく解説
「夫が会社員だったのに、妻の年金が思ったより少ない」「同じ年金なのに、もらえる人ともらえない人がいるのはなぜ?」——こんな疑問をお持ちではありませんか。その答えのカギになるのが加給年金(かきゅうねんきん)という制度です。名前を聞いたことがない方も多いのですが、条件に当てはまれば年間で20万円以上の差が出る、とても大切な仕組みです。この記事では、加給年金と、その後に続く「振替加算(ふりかえかさん)」について、やさしくご説明します。
加給年金とは?「年金の家族手当」のようなもの
加給年金とは、厚生年金(こうせいねんきん)に長く加入していた人が、扶養している配偶者や子どもがいるときに、老齢厚生年金に上乗せして受け取れる年金のことです。会社員や公務員として働いてきた人が対象で、サラリーマンの「家族手当(扶養手当)」に近い性格を持っています。
たとえば、夫が65歳になり、そのとき妻がまだ60歳で扶養に入っていたとします。妻はまだ自分の年金をもらう年齢ではありませんから、その間の生活を支えるために、夫の年金に上乗せして支給される——これが加給年金です。年の差夫婦ほど、もらえる期間が長くなり、金額も大きくなります。
加給年金をもらえる条件
受け取る本人(厚生年金の人)の条件
- 厚生年金の加入期間が20年以上あること(会社員・公務員として働いた期間)。共済組合などの期間と合わせて20年以上でも対象になります。
- 65歳になった時点(または特別支給の老齢厚生年金の定額部分が始まる時点)で、扶養している家族がいること。
扶養される配偶者・子どもの条件
- 65歳未満の配偶者で、本人が生計を維持していること(事実婚のパートナーも申立てにより対象になります)。
- 18歳到達年度の末日までの子ども(障害等級1・2級の場合は20歳未満)も対象です。
- 扶養される人の前年の収入が850万円未満(または所得655万5,000円未満)であること。
配偶者(妻など)が自分で厚生年金に20年以上加入していて、自分の老齢厚生年金を受け取る権利がある場合、加給年金は支給されません(2022年4月からのルール)。「夫の加給年金」と「妻自身の厚生年金」、どちらが世帯として得かは、年金事務所で確認することをおすすめします。
加給年金の金額(2026年4月から)
加給年金の額は次のとおりです。物価や賃金の動きに合わせて毎年度見直されます。
| 対象者 | 加給年金額(年額) |
|---|---|
| 配偶者 | 243,800円 |
| 1人目・2人目の子ども | 各243,800円 |
| 3人目以降の子ども | 各81,300円 |
さらに、配偶者が対象の場合には、受け取る本人の生まれ年に応じて36,000円〜179,900円の「特別加算」が上乗せされます。もっとも多い場合、配偶者分だけで年額約42万円になります。決して小さな金額ではありません。
加給年金は、条件に当てはまっても自動では支給されません。「届出」が必要です。何もしないと受け取れず、損をしてしまいます。
必要な手続き(届出)
加給年金の加算を受けるには、「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届(かきゅうねんきんがく かさんかいしじゆう がいとうとどけ)」を、お住まいの年金事務所に提出します。主な必要書類は次のとおりです(マイナンバーを記載すると一部を省略できます)。
- 加給年金額加算開始事由該当届
- 受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本
- 世帯全員の住民票の写し(続柄がわかるもの)
- 配偶者などの所得証明書または非課税証明書
書類は提出日の6か月以内に発行されたものが必要です。不安なときは、ねんきんダイヤルや最寄りの年金事務所で確認しましょう。相談は無料です。
「振替加算」とは?配偶者が65歳になったら始まる仕組み
加給年金は、配偶者が65歳になると終わります。そのかわりに、今度は配偶者自身の老齢基礎年金に上乗せされるのが「振替加算(ふりかえかさん)」です。
もともと振替加算は、国民年金が任意加入だった時代(1986年3月まで)に、専業主婦として年金を納めていなかった世代を救うための制度です。そのため、昭和41年4月2日以降に生まれた方には振替加算はつきません。制度は世代とともに少しずつ縮小しています。
| 配偶者の生まれ年(昭和61年4月1日時点の年齢) | 振替加算額(年額の目安) |
|---|---|
| 59歳以上(大正15年4月2日〜昭和2年4月1日生まれ) | 約24万円 |
| 若くなるにつれて段階的に減額 | 約1万5千円〜23万円 |
| 昭和41年4月2日以降生まれ | 0円(制度の対象外) |
振替加算の金額は、配偶者の生年月日によって細かく決まっています。ご自身の正確な金額は、日本年金機構のホームページの表か、年金事務所で確認してください。
つまずきやすい3つのポイント
①「繰下げ受給」で加給年金がもらえなくなる
年金を70歳や75歳まで繰り下げると、老齢厚生年金そのものは増えます。しかし、繰り下げている間は加給年金も支給されません。しかも加給年金は、繰り下げても金額が1円も増えません。加給年金の対象となる配偶者がいる方は、繰下げの前に必ず試算しましょう。
②申請を忘れると、さかのぼれない
加給年金も振替加算も、届出をした月の翌月分から支給されます。申請が遅れると、その間の分は受け取れません。
③離婚・死亡で加算は終了する
加給年金の対象者がいなくなったとき(離婚・死亡など)は、加算が終わります。届出を怠って受け取り続けると、後で返還を求められますので注意してください。
相談できる窓口
- ねんきんダイヤル:電話で年金の相談ができます。基礎年金番号やマイナンバーを手元に用意しましょう。
- お近くの年金事務所:手続きの相談・書類の提出ができます。予約制の場合が多いので、事前に電話するとスムーズです。
- 市区町村の年金相談窓口:住民票の取得や相談ができます。
この記事は一般的な情報をお伝えするものです。加給年金や振替加算を受けられるかどうかは、ご本人や配偶者の加入期間・年齢・収入によって一人ひとり異なります。実際の受給額や手続きの判断は、必ず日本年金機構(年金事務所・ねんきんダイヤル)や社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
まとめ
- 加給年金は、厚生年金に20年以上加入した人が、扶養する65歳未満の配偶者や子どもがいるときに上乗せされる年金
- 2026年4月からの配偶者分は243,800円(+特別加算36,000〜179,900円)
- 受け取るには自分からの届出が必要。自動では支給されない
- 配偶者が65歳になると、加給年金は終わり、代わりに振替加算が配偶者の老齢基礎年金に上乗せされる
- 繰下げ受給を選ぶと、加給年金が受け取れなくなる点に注意
「自分は関係ない」と思っていた方でも、配偶者が専業主婦だったご家庭なら、加給年金の対象になる可能性があります。まずはねんきん定期便でご自身の加入期間を確かめ、「20年以上あるか」をチェックしてみてください。確認するだけで、受け取れるはずのお金を取り逃す心配がなくなります。