2026年10月1日
⏱ この記事は約6分で読めます
相続放棄とは?借金やトラブルを防ぐ手続き|期限と注意点をわかりやすく解説
「親が亡くなったけれど、もしかしたら借金があったかもしれない」——そんなとき、財産も借金もいっさい受け取らない選択ができるのをご存じですか。これを相続放棄(そうぞくほうき)といいます。この記事では、相続放棄のしくみ、手続きの期限、やり方を、専門用語の解説付きでわかりやすく説明します。
相続放棄とは?
相続放棄とは、亡くなった方(被相続人〈ひそうぞくにん〉:亡くなって財産を残した人)の財産を引き継ぐ権利を、初めから持っていなかったことにする手続きです。預貯金や土地などのプラスの財産だけでなく、ローンや未払い金といったマイナスの財産(借金)も、まったく引き継がなくなります。
「プラスの財産だけもらって、借金はイヤだ」ということはできません。相続は、財産全体をひとまとめで受け取るか、すべて放棄するかのどちらかです。この点がとても大切です。
こんなときに考える
- 故人に多額の借金や保証債務があったかもしれない
- 事業の失敗などで、負債がどれくらいあるか分からない
- 負債が財産より多いことが確実な状況
- 自分が高齢で、手続きや管理の負担を増やしたくない
期限は「3か月以内」— ここが最重要
相続放棄ができる期間は、故人が亡くなったことを知った日から3か月以内と法律で決められています。これを過ぎると、原則として放棄できなくなります。
3か月を過ぎてしまうと、たとえ借金が多くても相続放棄はできません。家庭裁判所に相談して期間を延ばしてもらう「期間の伸長(しんちょう)」という手続きもありますが、認められるかどうかは裁判所の判断によります。「まだ大丈夫だろう」と放っておくと取り返しがつかないので、心配なときはすぐ動くことが大切です。
相続放棄のしかた(流れ)
相続放棄は、市区町村や銀行でするものではなく、必ず家庭裁判所に申し立てて、許可をもらう必要があります。口約束や書面のやり取りだけでは効力がありません。
- 亡くなった方の住所地を管轄する家庭裁判所を調べる(お住まいの裁判所でない場合も)
- 必要な書類を集める(戸籍謄本、住民票の除票、故人の死亡の記載がある戸籍など)
- 「相続放棄申述書(そうぞくほうきしんせいしょ)」を提出する
- 家庭裁判所の審査を受け、「相続放棄申述受理通知書」が届く
・収入印紙:800円分/連絡用の切手代:おおよそ数百円
・戸籍などの取得費用:数千円程度(集める書類の数による)
・代理人(弁護士・司法書士)に依頼する場合:5万円〜15万円程度が目安
手続きの注意点
- 「知った日から3か月」を過ぎると原則できません
- 財産を使ったり処分したりすると、放棄できなくなることがあります:故人の預貯金をおろして使う、家財を売るなどは「相続を承認した」とみなされるおそれがあります
- 他の相続人にも影響します:ひとりが放棄すると、残った相続人が全額を引き継ぐ場合があります。後から「知らなかった」とならないよう、家族でよく話し合いましょう
- 放棄したあとで撤回はできません:家庭裁判所の許可が必要で、認められるのはごく限られた場合です
- 相続税の申告が必要になることもあります:放棄した結果、財産の分け方が変わり、他の相続人の税負担が変わる場合があります
相続放棄は、いったん手続きすると取り消せません。また、故人の借金の有無や金額が分からないときは、勝手に判断せず、家庭裁判所や弁護士・司法書士(しほしょし:法律・登記の専門家)、税理士などの専門家に相談してから決めましょう。お住まいの地域の法テラスという公的な相談窓口を利用する方法もあります。
「限定承認」という選び方
借金があるかどうか分からないときは、相続放棄ではなく限定承認(げんていしょうにん)という方法もあります。これは「プラスの財産の範囲内でだけ借金を返す」という手続きで、財産も一部受け取れます。ただし、相続人全員で一緒に申し立てる必要があり、手続きは相続放棄より複雑です。どちらが良いかは状況によって違うため、専門家への相談をおすすめします。
まとめ
- 相続放棄は、財産も借金もいっさい引き継がない手続き
- 期限は「亡くなったことを知った日から3か月以内」。過ぎると原則できない
- 市区町村ではなく、家庭裁判所に申し立てる
- 財産を使う・処分すると放棄できなくなることがある
- 借金の有無が分からないときは、家庭裁判所や専門家に早めに相談する
親の借金は、誰にとっても考えたくない話です。しかし、知っておくだけでご家族を守れることもあります。少しでも不安を感じたら、早めに専門家へ相談してくださいね。この記事が参考になったら、まわりのお友達にも教えてあげてください。