公開日:2026年9月9日
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相続時精算課税制度とは?対象者・110万円控除をわかりやすく解説

「子どもや孫に、まとまったお金や土地を生きているうちに渡しておきたい」そんなふうに考えたことはありませんか?

でも、いざ贈与(ぞうよ)しようとすると、贈与税(ぞうよぜい)がかかって悩んでしまうものです。そんなときに知っておきたいのが「相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんかぜいせいど)」です。

この制度を使うと、贈与したときは税金を抑えられて、最終的に相続のときにまとめて精算(せいさん)できます。この記事では、この制度の仕組みや対象者、2024年から変わったポイント、メリット・デメリットを、難しい言葉を使わずにわかりやすくご説明します。

📌 この記事のポイント
・相続時精算課税は「贈与税を相続税として後払いする」制度
・毎年110万円までは贈与税も申告も不要(2024年から)
・累計2,500万円までは贈与税がかからない
・一度選ぶと、同じ人への贈与では暦年課税に戻れない

相続時精算課税制度とは?

相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんかぜいせいど)とは、親や祖父母が亡くなったときに、生前(せいぜん)に贈与した財産を相続財産に合算し、まとめて相続税として納める制度のことです。

普通の贈与(暦年課税《れきねんかぜい》といいます)だと、1年間に110万円を超えて贈与すると、その年すぐに贈与税がかかります。しかし相続時精算課税を使うと、贈与した時点では税金を抑えられて、亡くなったときに改めて税金を計算します。

💡 簡単に言うと
「今すぐ贈与税を払う」のではなく「将来の相続税で清算しましょう」という制度です。一度にまとまった財産を渡したい方に向いています。

対象者は誰?条件をチェック

この制度を使えるのは、次の条件をすべて満たす場合です。

📝 具体例
・60歳以上の祖父 → 成人した孫へ贈与 〇
・50歳の父 → 成人した子へ贈与 ✕(贈与者が60歳未満のため)
・祖父 → おい・めい(兄弟の子ども)へ ✕(直系の子孫ではない)

ポイントは「直系の子孫」であることです。嫁や婿、兄弟の子どもには使えません。

年110万円の基礎控除とは?2024年の改正点

相続時精算課税制度は2024年1月1日から大きく使いやすくなりました。その中心が「年110万円の基礎控除」の新設です。

項目内容
基礎控除毎年110万円まで贈与税がかからず、申告も不要
特別控除累計2,500万円まで贈与税がかからない
特別控除を超えた分一律20%の贈与税がかかる

改正前は、たとえ1万円の贈与でも毎年申告が必要でした。しかし2024年からは、毎年110万円以内なら贈与税も申告も不要になりました。さらに、この110万円以内の贈与は2,500万円の特別控除枠も使わず、相続財産への加算もありません

💡 例:毎年100万円を5年間贈与した場合
100万円 × 5年 = 500万円すべて贈与税がかからず、申告も不要。亡くなったときの相続財産にも加算されません。子どもや孫への「定期的なプレゼント」にぴったりです。

相続時にどうなる?精算の仕組み

贈与した財産は、贈与者(親や祖父母)が亡くなったとき、原則として贈与した時点の価額で相続財産に加算されます。そして、相続税全体を計算し、すでに払った贈与税があれば差し引かれます。

🔑 流れ
1. 生前に財産を贈与(この時点では特別控除の範囲内なら税金なし)
2. 贈与者が亡くなる
3. 贈与財産を相続財産に加算し、相続税を計算
4. 払い過ぎた分は還付(かんぷ)される

このため「節税(せつぜい)」というよりは「税金の支払いを先送りにする」「将来値上がりしそうな土地などを早めに渡して評価額を固定する」ための制度と考えるのが正確です。

暦年課税との違い|どっちが得?

贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの方法があります。主な違いは次のとおりです。

項目暦年課税相続時精算課税
毎年の非課税の範囲110万円まで110万円まで(2024年から)
まとまった額の贈与超えた分に累進税率2,500万円まで無税
税率10%〜55%の累進超過分は一律20%
相続時の扱い原則、加算対象外(相続前3〜7年は加算)加算して相続税で精算
制度の変更いつでも使える一度選ぶと戻れない

大きな財産を1度に渡すなら、累進税率の高くなる暦年課税より、相続時精算課税が有利になることが多いです。ただし、税金計算は個々の状況で大きく変わります。

相続時精算課税のメリット・デメリット

メリット

デメリット

⚠️ 特に注意
一度この制度を選ぶと、原則として同じ贈与者からの贈与では暦年課税へ戻れません。「取りあえず選んでおこう」は禁物です。将来の相続税を含めて、必ず事前に専門家とよく相談してから決めましょう。

相続時精算課税でよくある質問

Q. 申請はどこでするの?

贈与があった年の翌年2月1日から3月15日までに、お住まいの地域を管轄する税務署へ「相続時精算課税選択届出書」を提出します。必要書類は戸籍やマイナンバーなどです。提出しないと制度を利用できません。

Q. 110万円以内なら申告は本当に不要?

2024年1月以後の贈与では、毎年110万円以内なら贈与税の確定申告は不要になりました。ただし、制度を利用するための「選択届出書」は最初に別途提出が必要です。

Q. どのくらいの資産があれば使うべき?

目安として、将来相続財産が3,000万円を超えそうな方や、まとまった財産を早く子どもに渡したい方は検討価値があります。しかし、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)の範囲内なら、そもそも相続税のかからない場合もあります。個々の状況で得になるかが変わるため、一概には言えません。

⚖️ 法律・税務に関する注意
この記事は一般的な情報のご案内です。相続時精算課税制度は、あなたの財産の状況や家族構成によって、得になる場合も損になる場合もあります。制度を利用するかどうかは、必ず税理士や司法書士などの専門家に相談し、ご自身の状況に合わせて判断してください。税金の手続きや書類の作成も専門家のサポートを受けることをおすすめします。

まとめ

相続時精算課税制度は、「子どもや孫へまとまった財産を早めに渡したい」という方の強い味方になってくれる制度です。2024年から年110万円の基礎控除ができたことで、より利用しやすくなりました。

ただし、一度選ぶと戻れない制度です。金額の大小にかかわらず、「本当に相続時精算課税がいいのか」は専門家とじっくり相談してから決めることをおすすめします。

まずは、この記事をきっかけに、お子さんやご家族と「財産をどうするか」という話をしてみてはいかがでしょうか。話し合うこと自体が、将来のトラブルを防ぐ第一歩になります。